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Interview

妙善寺の住職でもあり、本映画祭の実行委員長も務める的場徳雅に映画祭開催に向けての意気込みなどをインタビューしました。

- そもそも妙善寺映画祭をやろうと思ったキッカケはどんなことだったのでしょうか?

的場:妙善寺では三年ほど前からお寺のスペースを一般の方向けに開放しており、写真展、絵画展などの展覧会、音楽ライブやお笑いライブなどの各種ライブ、演劇や舞踏などの上演会、またセミナーや研修会さらには、大広間でご飯を食べたりお話をする会などなど、ジャンル問わず大小様々なイベントが開催されてきました。

しかし私の大好きな映画のイベントはまだ開催されたことがなく、お寺のイベントにいらっしゃるお客様たちからも映画イベント開催のリクエストを多数いただいていたので、チャンスがあればと常々思っておりました。そして今回、私自身が主催者となり開催してみようと思い至りました。

- なるほど、住職ご自身が映画がお好きなのですね。他にもこの映画祭には「チャリティ」という目的もありますが、その点にこめた想いを教えてください。

的場:私は僧侶として、日本ないし海外で、災害に遭った地域に数多く足を運んできました。その中で、災害で親を亡くした子どもたちにも会ってきましたが、そんな子どもたちと会話をする中で、言葉では言い表せないような気持ちを覚えました。「心」に深く重い「闇」を持ちたくなくても、持ち続けなくてはならない子どもたちがたくさんいるのです。このイベントで皆様から集めさせていただく募金が、災害で親を亡くした子どもたちの「心」に照らす「光」となることを、強く望んでいます。
また当山のイベントは、これまでもこれからも、主催者の方や出演者の方、利用される方からは使用料をお取りしない方針でやっております。
これは、お寺の門をくぐった人は、身分も性別も超えて皆平等になるという考えと、伝説的レゲエミュージシャン、ボブ・マーリーの「鍵のない家」というコミューンへの憧れから来ています。
お寺でのイベントにおけるビジョンとして、その2つが根底にあるので、チャリティーという考えはごく自然に出てきました。

- お寺という場ならではの想いもあるのですね。お寺だからこそできること、お寺としてこんなイベントにしたいといったことはありますか?

的場:映画祭の前に様々な災害で命を落とされた方の慰霊法要を厳修いたします。またお寺という場所は、江戸時代は民衆にとって、亡くなった方の場所、お通夜や法事の場所という認識ではなく、寺子屋や悩み相談、お茶会、お花の会、唄会、書会などを開催する、生きている人のための場所という認識だったそうです。
当山も囲碁会の会場として有名で、「麻布の囲碁寺」と言われていたそうです。私の願いは、お寺という場所が、この平成の殺伐とした時代にあっても、人々が気軽に集える、お金や経済とは関係のない娯楽施設、公共施設として機能することです。
この映画祭を通して、皆さんに「お寺は心のふるさと」という認識が少しでも広がることを期待しています。


- その願いが実現して、人々が町のお寺に気軽に足を運べるようになったら本当に素敵だと思います。話は変わりますが、もともと住職は芸人さんをなさっていたということで、どういった経緯で芸人さんになり、そこからお坊さんになられたのでしょうか。

的場:私は中学生の時にお笑いに目覚め、高校では廃部状態の演劇部を、友人たちと旧顧問の先生に掛け合って、再び復活させ、そこでコントをしていました。
大学時代は落語研究部に入部し、そこでも落語ではなく、なぜかお笑いをやっていました。映画研究部にも入部して兼部してましたが、やはりそこでもやっていたのはコントでした。その後に日蓮宗の修行を終えると、お坊さんになると見せかけて某お笑いプロダクションの養成学校に入学し、3年くらいお笑いをやっていました。
そんなある日、父が脳梗塞で倒れてしまいます。私はお笑いをやめ、山梨県にあります日蓮宗総本山、身延山久遠寺に入山し、三年半にわたりご給仕させていただきました。

そして2013年、この妙善寺に戻り、住職になりました。と、なんと不思議なことがあるもので、父の病気が快方に向かい、みるみる完治したのです。今では2人でお寺を運営しています。私を僧侶にさせるために、うちの仏様が父を病気にさせたのではないかとすら思ってしまいます(笑)。

- そのおかげでこうしてファンキーで楽しいお寺ができあがったのですね(笑)。妙善寺をどんな場所にしていきたいですか?

 

的場:当山は365日、9時から17時まで、必ずいつでも休みなく開いています。その中で法事やイベントの有る無し、檀家さん、一般の方も関係なく、誰でも自由に気軽に入ってきていただいて、のんびりリラックスしていただける場所にしていきたいです。もっともっと、みなさんの「心のふるさと」にしていきたいです。
 

- はい。本当に入りやすい楽しいお寺だと思います。ちなみに今回の映画祭の目標はありますか?

 

的場:そうですね。出品者の方もお客様も、我々映画祭実行委員も、みんなが「楽しかったね!!」「また、来たいね!!」、「帰りたくないね!!」そんな風に言ってもらえるような、映画祭にしたいです。
まぁ、一言で言うと、「ハッピームービーパーティ!!」(※住職からのコメントムービーをご参照ください)。

- 集まってきているのはどんな作品でしょうか。

的場:ジャンルもプロアマ、年齢も関係なく、様々な素晴らしい作品が届いてきてますよ!本舗初公開の作品もあります。どの作品もキラキラと光っています!!

この作品たちがスペシャルな環境で上映されることを考えるとワクワクが止まりません!武者震いが止まりません!ロマンティックが止まりません!!(テンションが上がってきました)


- クオリティの高いものからエッジの効いたものまで様々なようで、とても楽しみです。映画祭の今後の継続的な展開はありますか?

的場:はい、もうすでに第二回目に向けても始動しています。「妙善寺映画祭」を定期的なイベントとして、また妙善寺の定番イベントとして、皆様に愛される場に成長させていければなと思っております。


- 最後に、映画祭をつくる実行委員の皆さんはどんなメンバーでしょうか?

的場:皆さんのおかげで、ここまで来ることが出来ました。いよいよ来月、本番です。

実行委員の皆さんは、お一人お一人それぞれお仕事がある中、時間を作って会議に出席していただき、心から感謝しています。

34歳にして、「仲間っていいな」「みんなでイベントを作り上げるのって楽しいな」と思っています。みなさんと出会えて、本当によかったです。
 

- それは非常によかったです(インタビュアーも実行委員メンバーです)。

的場住職を中心にたくさんの想いをこめて作り上げている映画祭、いよいよ11月に開催です。映像が好きな方、お寺に関心がある方、六本木でちょっといつもと違う休日を過ごしてみたい方、新しい仲間に出会いたい方、あらゆる方にとって楽しんでいただけるイベントにすべく頑張っておりますので、ぜひたくさんの方にお運びいただけたらと思います。

 

(インタビュー・文:高橋弓子)

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